爽やかな南国の風味が特徴のパッションフルーツ。
どちらかというと、生育に適した九州や沖縄などの暖かい地域ではよく知られていますが、近年本州でもジワジワと認知度を高めてきています。
南国フルーツに栄養成分が高く含まれているスーパーフードが多いことは、スーパーフードブームでご存知の方も多いのではないでしょうか。実はパッションフルーツも私たちの美容や健康に嬉しい栄養成分が豊富に含まれています。
今回はパッションフルーツの果実部分のみでなく、種や葉や花の注目すべき栄養成分にも着目していきたいと思います!
パッションフルーツの注目したい栄養成分
まずは果実の注目したい栄養成分についてご紹介します。
βカロテン
およそ体の70%以上が水分でできている私たちには、乾燥は大敵。特に保湿で重要なビタミンAが不足すると目などの粘膜や肌が乾燥気味になってしまいます。
ビタミンAは食事から補給することが大切で、食品からは動物性食品に多いレチノールと緑黄色野菜に多いβカロチンが摂取できます。
…しかし、実は動物性食品やサプリメントから摂取できるビタミンA(レチノール)には厄介な点が存在します。
それは必要以上の量を摂取すると体内に溜まっていって過剰症を引き起こす点です。
ビタミンA過剰症は次のような症状が現れます。
- 体がだるい
- 頭痛
- 吐き気
- 食欲が落ちる
- 髪の毛が抜ける
- 肌荒れ
- 下痢
- 手足が痛い
ビタミンAが豊富に含まれている食品はレバーやうなぎの蒲焼などがあり、特に妊娠中の女性が過剰摂取をすると奇形児になってしまう危険性があると言われています。
より安全にビタミンAを摂取できる
その点、ビタミンAの過剰摂取を気にする事なくビタミンAを摂取できるのがβカロテン。
βカロテンは体の中で、ビタミンAが必要な時に必要な分だけビタミンAに変化して、残りはβカロテンとして体に作用します。なので過剰症になる心配がなく必要なビタミンAを摂取できるというメリットがあるのです。
その他にもβカロテンには強い抗酸化作用があり、体内に発生した老化や病気の原因になる活性酸素から体を守ってくれます。
パッションフルーツにはそういったβカロテンがミカンと同じくらい含まれているんです!ミカンを食べ過ぎると手のひらが黄色くなることがありますが、それはβカロテンを豊富に摂取したことによるもので、パッションフルーツを食べ過ぎても同じような現象が現れます。
まぁ、ミカンより酸っぱいので食べ過ぎることはあまりありませんけどね! 苦笑
ビタミンB2
ビタミンB2は生活習慣病予防にとても大切な栄養素で、体の中の脂質を代謝するときに必要な成分です。
「脂質」というと唐揚げや天ぷら、脂身の多い肉などを思い浮かべませんか?そういった脂質は飽食の国日本ではエネルギーに代謝されにくく、体内にどんどんと溜まっていきメタボの原因になることも多いです。
仮にダイエットなどで脂質がエネルギーに変換される機会ができても、変換するときに必要な栄養素が不足していると脂肪燃焼ができなくなってしまいます。
実は脂肪燃焼のときに不足していると困る栄養素が、このビタミンB2なのです。また、「発育のビタミン」とも呼ばれているほど子供の成長に欠かせないビタミンでもあります。
パッションフルーツはアボカドや柚子に続いて、果物の中でビタミンB2の含有量が多い部類に入ります。その含有量はパッションフルーツを100g食べることで、成人男性が1日に必要なビタミンB2の約半分ほどの量を摂取することができるほど。
美味しくいただきながら、ダイエットや生活習慣病改善の手助けだけでなく、子供の成長にも役立つフルーツです。
ビタミンB6
ビタミンB6は特に美容や月経時の不調など女性になくてはならない栄養素です。
年齢を重ねると皮膚がたるんで子供や若い頃のようなハリがなくなってきますが、それは皮膚のコラーゲンやエラスチンという成分が少なくなってしまったから。子供のようなピチピチした肌に戻りたければ、コラーゲンやエラスチンなどを増やすしかありません。
でも、そういうコラーゲンやエラスチンの元になる材料が体の中にあったとしても、ビタミンB6がないとコラーゲンやエラスチンに変身できないのです。肌と同じように、髪の毛も爪も全身の肌も歯も、ビタミンB6がないと美しく生まれることができません。そういった美容に欠かせない部位は、まさにビタミンB6の土台の上に成り立っていると言っても過言ではないのです。
そしてビタミンB6はそれだけではなく、女性の子宮にまつわる悩みにもアプローチしてくれます。生理前や始まった頃のイライラ・生理痛・頭痛など、毎回ツラい思いをしている方は多いと思います。また、妊娠初期のつわりはツラいですよね。
そういう子宮関係の事は生活習慣やストレスなども原因になるんですが、ビタミンB6不足も関係していると言われていて、ビタミンB6を摂取して症状が軽くなるケースもあるんです。
パッションフルーツにはこのビタミンB6も多く含まれています!
ビタミンE
ビタミンEはとてもとても強い抗酸化作用があり、体の中をサビさせる活性酸素を無力化して体がサビていくのを防いでくれる役割を持っています。その抗酸化作用の強さは折り紙つきで、「若返りのビタミン」なんて称号があるほど効果が認められているんです。
別の言い方をすると「素材を酸化させないようにしてくれる」という意味でもあり、手作り化粧品を作るときには酸化防止剤としてビタミンEを配合したりもします。
またβカロテンなどは活性酸素と反応すると、自分自身がサビてしまい抗酸化力が落ちてしまうのですが、ビタミンEはサビたβカロテンを復活させてまた抗酸化物質として活躍できるようにサポートしてくれます。
パッションフルーツには多くはないのですが、ビタミンEが微量に含まれています。
ビタミンC
皆さんご存知ビタミンC。抗酸化力が強いことでも知られていて、体内に活性酸素が多い場合、ビタミンCがその活性酸素と戦って体を守ってくれます。しかし活性酸素と戦うと、ビタミンC自体が細胞の代わりに酸化してしまうので、効力を失います。
なので特に喫煙や飲酒、生活習慣の乱れなどがある場合は体内の活性酸素が多いために、常にビタミンC不足に陥りやすいのです。
ビタミンCはコラーゲンを生成する時に必要な栄養素で、ビタミンC不足は同時にコラーゲン不足にも繋がります。コラーゲンは特に皮膚のハリや弾力を作り出しているので、不足すると肌のたるみやシワの原因に。
また、シミの原因になるメラニン色素の発生を抑える役割もあるので、ビタミンCを摂取することは美白にも繋がります。逆に、ビタミンC不足は老化を早めることに繋がっていきます。
美容以外にもビタミンCは鉄分を吸収する時に必要な成分なので、毎月の生理や妊娠出産などで貧血になりやすい女性には必須の栄養素なのです。
パッションフルーツは酸味が強いのですが、ご想像の通りビタミンCが豊富に含まれています。含有量はβカロテンのように、ミカンと同じくらいです。
葉酸
ビタミンCが鉄分不足を改善してくれるなら、葉酸は血液を作り出してくれる栄養素です。
妊娠・出産で血液を消費する女性にはとても大事な栄養素で、特に妊娠初期の葉酸不足は胎児の発育やその後の妊娠の経過にも関わってきます。母子手帳には葉酸を積極的に摂取するように記載され、産院でも指導されるほど葉酸の摂取は重要なことなのです。
画像引用:http://ryosfarm.com
パッションフルーツには豊富に葉酸が含まれていて、その含有量はブルーベリーやキウイの2倍以上にもなります。
鉄
「貧血には鉄剤」というのは当たり前になっていますが、なぜだかご存知ですか?
鉄は体内で赤血球の中にあるタンパク質、ヘモグロビンになります。ヘモグロビンは酸素や二酸化炭素と結びつく性質を持っていて、血流に乗って体内の隅々に酸素を運び、発生した二酸化炭素を回収する役割を持っています。
なので、鉄が不足してヘモグロビンが減少すると、体内の様々な場所の細胞が呼吸困難を引き起こすのです。これが「貧血」の症状。
美容面では肌や髪や爪などの美しさが損なわれますし、健康面では体内のあらゆる臓器や脳が呼吸困難を起こし、様々な症状や病気の原因となります。
パッションフルーツには鉄分も含まれていて、ビタミンCや葉酸も豊富に一緒に含まれているので吸収率が高く、赤血球の合成なども効率が良いというメリットがあります。
マンガン
マンガンはミネラルの一種で、骨を丈夫にしてくれる成分の一つ。また、マンガンは酵素を構成する大切な栄養素でもあります。
酵素というと少し難しい感じがしますが、体を一つの会社に例えてみるとわかりやすいです。取締役など、会社全体に指令を与えるのが脳。そして各臓器が会社の各部署だとしたら、それぞれの部署にあるパソコンや製造機などは体の消化機能や処理機能に当たります。
しかしパソコンや機械などのシステムがあるだけでは業務ができませんよね。それを動かす人が必要です。体でいうと、その作業員の役割をするのが酵素なのです。
パッションフルーツにはそういった身体中の酵素を構成するマンガンも含まれています。
カリウム
カリウムは体内の塩分濃度を調節して、余分な塩分を排出してくれる働きがあります。
塩分過多になりやすい現代食が豊富ですし、高血圧の原因にもなり、特に妊娠している女性は高血圧症を起こすと胎児共に母体にまで危険が及びます。
パッションフルーツには高血圧を防いでくれるカリウムが、バナナと同じくらい豊富に含まれていて、普段から食事の塩分が多めの方のサポートにもなります。
ナイアシン
ナイアシンは別名ビタミンB3とも呼ばれていて、体内の補酵素を構成する栄養素です。
「補酵素」…、また難しい言葉が出てきてしまいましたが、先ほどの会社の例でいうと、作業員の補助をする人を想像してもらえるとわかりやすいかと思います。
会社でいう作業員の役割をしている酵素は、一人だけで仕事ができない場合が多くあります。そういった時に助っ人として補酵素(補助する人)が一緒に作業することにより、きちんとした仕事(代謝など)を行うことができるようになるのです。
例えば手術をする時、必ず助手がそばにいますよね?中にはブラックジャックみたいに一人で手術してしまうお医者様もいるかもしれませんが、ほとんどの場合は助手がいます。
そういう風にも考えてみると、補酵素は私たちの生命機能を効率よくうまく働かせるために重要なポジションにいるのです。ナイアシンは体内の500箇所以上のところで需要があり、不足すると体の様々なところで支障が生じてしまいます。
また、ナイアシンは私たちの幸福感や満足感を調整する「セロトニン」の元にもなる成分なので、多く摂取することでイライラや鬱など、セロトニン不足で起こる症状を改善することができます。
パッションフルーツにはナイアシンが豊富に含まれていて、果物の中でナイアシン含有量トップを誇るアボカドの次に多くなっています。
パントテン酸
パントテン酸はビタミンB5とも呼ばれていました。ナイアシンのように体のあらゆる場所で酵素の働きを助ける、補酵素を構成する栄養素です。
パントテン酸が補酵素を構成して体内でどんな働きをするのかというと、脂質・糖質・タンパク質をエネルギーにしたり免疫システムにしたりと、別のものに生み変える(代謝)役割を持っています。
脂質・糖質・タンパク質などは体の中で他の要素に生み変えられてこそ役に立つもので、エネルギーなどに生み変えられない場合は体内にどんどん溜まってしまいます。そうするとメタボなど生活習慣病の原因となるので、その予防をサポートするパントテン酸は「ダイエットのビタミン」とも呼ばれているのです。
また、ストレスから体を守る「抗ストレスホルモン」の合成には根底的ににパントテン酸が関わっていて、パントテン酸が不足すると抗ストレスホルモンが上手く合成されず、ストレスによって体調が悪くなってしまいます。
とはいえパントテン酸はあらゆる食べ物に含まれているので、普通に栄養バランスがある食事をしていれば不足することはまずありません。
パッションフルーツは、フルーツの中でもパントテン酸の含有量が多く、さらに相性の良いビタミンCも豊富に含まれています。
ビタミンCは「抗ストレスビタミン」とも言われていて、抗ストレスホルモンの分泌をサポートするパントテン酸と相乗効果を生み出します。さらに肌のアンチエイジングにもこの2つの栄養素は協力しあって作用するので、パッションフルーツはアンチエイジングやストレスに悩まされることの多い現代人にとって心強いフルーツなのですね。
種の栄養がさらにスゴイ!
パッションフルーツの代表的な栄養について解説してきましたが、実は捨てられることの多い種の栄養はもっとスゴイんですよ!
注目のピセアタンノール
ピセアタンノールとは聞きなれない成分ですが、ポリフェノールの一種でパッションフルーツの種に膨大に含まれています。
世界で初めて発見したのは、あの森永製菓。パッションフルーツの種には、ポリフェノールで話題になっているワインの原料、ブドウの果実より、7000倍以上も多く含まれているということが発見され、注目を浴びています。
ピセアタンノールは赤ワインに含まれているポリフェノール「レスペラトロール」に非常に近い構造をしていて、働きも似ています。レスペラトロールは長生き遺伝子と言われている「サーチュイン遺伝子」を目覚めさせる成分として話題になりました。
サーチュイン遺伝子の働き
しかしサーチュイン遺伝子自体の不老効果はまだまだ疑問視されている部分もあり、またサーチュイン遺伝子へのレスペラトロールの働きにも是非両論があります。
実はピセアタンノールにもサーチュイン遺伝子の目覚めを誘導する役割があることが確認されていますが、不老効果はサーチュイン遺伝子と他の遺伝子の相乗効果によるのではないかと言われていてまだ研究段階です。
なのでここでは不老効果ではなくピセアタンノールによって目覚めたサーチュイン遺伝子の他の働きに注目しましょう。
サーチュイン遺伝子が目覚めると体内の様々な細胞に働きかけて活性化させてくれます。例えば生活習慣病や肌の美しさ、血糖値やアルツハイマーなど、細胞レベルで活性化を促し、改善させるという研究結果がいくつも報告されています。
なので寿命が伸びて不老にならない訳ではありませんが、若々しく元気に過ごせるような仕掛けを、サーチュイン遺伝子は施すことができるのです。まだまだ世界中で研究されているので、これからも新たな効果などが報告される可能性のある、注目の遺伝子ですね。
ピセアタンノールのその他の働き
ピセアタンノール自体は、2型糖尿病の血糖値が上がるのを防ぐ働きがあると言われています。
またピセアタンノールは美容への働きかけにも注目されていて、細胞レベルで肌のハリやくすみなどを改善してくれます。上記で紹介したパッションフルーツのビタミンも美容にとてもいい成分ですが、ピセアタンノールはさらに根底から美容にアプローチします。
固い種を食べるの?
森永製菓はピセアタンノールをパッションフルーツから抽出してパセノールというアンチエイジング成分を開発しました。パッションフルーツ内の成分を発見したのも、そこから抽出したのも世界で初めてというから驚きです。
パッションフルーツを手に入れることが難しい方や味が好きでない方、血糖値の関係でフルーツ摂取を制限しないといけない方などは開発されたパセノールを摂取することでピセアタンノールを高濃度に取り入れることができるでしょう。
しかし筆者的には特定の成分の抽出は、天然のフルーツをそのものには勝ることはないと考えています。確かにピセアタンノール単体でも大きなメリットを得ることはできるかもしれませんが、フルーツにはそれ以外にも様々な栄養素が存在し、それらが上手く絡み合って私たちの体に複雑に働きかけるものだからです。
なのでもし何か特別な問題があってフルーツが食べられないなら仕方ありませんが、そうでないのならパッションフルーツそのものから摂取することがオススメなのです。
パッションフルーツの種に含まれているポリフェノールはとても含有量が多く、赤ワインの原料であるブドウの7000倍以上にもなりますから、赤ワインを何十本と飲み干すより簡単ですしより健康的でしょう。
実際にパセノールに含まれている1日の目安量をパッションフルーツの種で摂取するには、わずか2gの種を摂取するだけでOK。でも種を噛み砕くのは大変な作業なので、パッションフルーツをミキサーなどで種ごと砕いてジュースにしたり、果実を食べるときに取り分けた種を家庭用ミル機などで粉状にすると、吸収率もアップして上手に摂取できます。
パウダーにする過程でピセアタンノールが壊れてしまわないか心配して調べたのですが、森永製菓の研究で成分を抽出する際にも、種を粉にしたものから抽出しているので問題なさそうです。
種を丸ごとはさらに、栄養たっぷりのオイルも摂取できる!
粉砕機などでパッションフルーツの種を粉状にする過程で、実はパッションフルーツオイル(マラクジャオイル)というリノール酸やパルミチン酸、オレイン酸など、体に良い成分が豊富に含まれているオイルが出てきます。
なので粉々にした種は粉というより、オイルが混じってペースト状になります。
特にリノール酸は70%も含まれていて、体内では合成できないので、食べ物から摂取しないといけない成分です。
自宅のミル機で出てきたオイルは精製されていないので肌には塗れませんが(おそらく不純物によって肌が荒れるので、肌には精製されたオイルを購入しましょう)、食用としては問題ありません。
ピセアタンノールも過不足なく摂取できて、栄養豊富なオイルまで体に摂り入れることができる、一石二鳥な方法ですね。ここではオイルに含まれている栄養素もご紹介します。
パルミチン酸
パルミチン酸はパッションフルーツオイルに10%弱含まれています。この成分は抗酸化作用があり、活性酸素から体を守ります。そしてビタミンAやβカロテンと相性が良く、一緒に摂取することで相乗効果を生み出すのが特徴。
ビタミンAは目や肌の保湿などに役立ちますが、すぐに酸化してしまって効力を失ってしまうのが欠点です。ですがパルミチン酸はビタミンAをサポートし、安定化させることでビタミンAを長持ちさせてくれます。
また、肌の保湿に役立つビタミンAをサポートする一方で、皮脂の分泌をコントロールしてくれる役割も。そのため乾燥から肌を守りながらもニキビの原因となる皮脂の過剰分泌を抑えてくれます。
実はパルミチン酸は摂取しすぎると体にあまり良くないのですが、オリーブオイルや牛乳などにも多く含まれているので、摂取量を比較すればパッションフルーツの種を食べるくらいでは問題ありません。
ステアリン酸
ステアリン酸もパルミチン酸のように抗酸化作用があります。また、特徴的なのは乳化作用と抗菌作用。
乳化作用は、普通では混ざらない水分と油分を乳化させて、乳液やクリームのようにする作用のことを言います。乳液やクリームのようになるので私たちにとって大敵である乾燥から守ってくれます。
そして抗菌作用があるので雑菌からも守ってくれる点を考えると、美容にとても役に立つ成分ですね。
パッションフルーツオイルに含まれているステアリン酸はわずか3%弱。でもステアリン酸だけでなくオイルの他の成分もしっかりと美容に摂り入れたいなら、精製されたオイルを塗布したりマッサージに使うと良いでしょう。
オレイン酸
オレイン酸はパッションフルーツオイルに13%以上含まれています。特に注目したいのは悪玉コレステロールを減らしてくれる点。
悪玉コレステロールは様々な生活習慣病の原因となるもので、特に現代食では悪玉コレステロールを多く摂取しがちです。
他のコレステロールを下げる成分の中には善玉コレステロールも一緒に下げてしまうものもあるのですが、オレイン酸は善玉コレステロールの量を変えずに悪玉コレステロールだけを下げてくれる働きがあります。
そしてオレイン酸は胃腸を活発にさせる働きがあるので、栄養素の吸収率をアップさせ、老廃物がきちんと排出されるように導きます。
リノール酸
リノール酸はパッションフルーツオイルの約70%をしめる主要成分です。この成分は体内で生成されないため、食べ物などから摂取するしかありません。
現代人は悪玉コレステロールが溜まりやすい生活習慣をしているケースが多いですが、リノール酸は悪玉コレステロールを下げる働きを持ちます。
また、体内では必要に応じて「γリノレン酸」や「アラキドン酸」という成分に変化し、血糖値や血圧を下げたり、痴呆など記憶を司る脳の部分にアプローチしてくれます。しかしリノール酸は摂取の仕方や量に気をつけなければならない成分で、過剰摂取や単独接種が続くと逆に体を悪くしてしまいます。
またパッションフルーツの種を粉砕してペースト状になったものは保存しておかないで速やかに食べてしまいましょう。パッションフルーツオイルは酸化しやすく、時間が経ったオイルは酸化して体に悪影響を及ぼします。
葉や花のハーブティーも
パッションフルーツは花や葉もハーブとして有効活用することができます。
ハルミン
その中でもハルミンという成分が近年研究されながら、様々な働きを持つことがわかってきました。
骨や歯を再生する
パッションフルーツの葉や花に含まれている「ハルミン」は、骨を作り出す細胞である「骨芽細胞」を増やす役割を持っています。それを発見したのは中部大学と東京医科歯科大学の研究グループで、歯周病に対しての効果を研究したものでした。
歯周病によって歯の組織が破壊されると歯がグラグラしてきますが、ハルミンはその骨芽細胞を増やすことで破壊された歯の組織を復活させる働きがあることがわかったのです。
この研究は歯に対して行ったものですが、もし人間の全身の骨芽細胞を増やすのに有効であるなら、骨粗しょう症予防にも役立つのではないかと思われます。今後のさらなる研究が期待されますね。
血糖値を調節する
また別の研究によると糖尿病の血糖値を調節する「β細胞」を増やしてくれる可能性が報告されています。
β細胞は膵臓にあるのですが、悪い生活習慣を続けることによって膵臓が酷使されて疲れきってしまい、インスリンを分泌するβ細胞も弱ったり減少してしまいます。そうすると血糖値を調節することができなくなり、最終的に糖尿病になってしまうのです。
糖尿病の1型と2型どちらもこのβ細胞が少なくなってしまうことが原因とされていて、減少したβ細胞は復活しないと言われています。
しかしそんな糖尿病患者にとって、パッションフルーツのハルミンがβ細胞を増やすかもしれないという研究はとても画期的ではないでしょうか!まだまだ研究が続けられているので、その結果がどのようなものか期待されます。
また、パッションフルーツはブラジルでは「活発すぎて寝ない子供に食べさせると落ち着いてよく寝るようになる」と言われています。どんなブラジル人でもこのことを知っているので、日本で「風邪を引いたら卵酒を飲むと治るのよ」と言われるような、単なる民間的なものかと思っていました。
しかし体内時計とインスリンは深く関係していて、インスリンが減少すると体内時計が狂うことが別の研究で報告されました。具体的にはインスリンが減ると体内時計が遅れて眠りにつく時間が遅くなってしまったり、寝起きが悪くなってしまったりという症状が現れます。その研究では、体内時計が狂うことが糖尿病の原因ではないかとされています。
パッションフルーツのハルミンがインスリンを分泌するβ細胞を増やすのだとしたら、体内時計がインスリンによって調整され、パッションフルーツのハーブ特有の鎮静作用や精神安定作用も合わさって、落ち着いて眠りにつくことができるのかもしれません。
そう考えると、ブラジルで伝統的に言われている「安眠効果」もあながち間違いではないようです。
時差ボケにも?
さらにハルミンには体内時計自体を遅らせる作用が発見されています。それによって時差ボケ対策などに有効なのではないかと、研究が勧められています。
インスリンと体内時計は不思議なもので、睡眠時間が不規則な生活によって体内時計が狂うとインスリンが減少しますし、悪い食生活やストレスでインスリンが減少すると、体内時計も狂ってきます。どちらかのバランスが狂うと、もう一方のバランスも狂うのです。
ハルミンのβ細胞を増やす役割と体内時計を遅らせる役割は、一見すると正反対の作用なので疑問が湧いてきますね。でもどちらもインスリンに作用していくので、総合的に見ると、ハルミンは「インスリンや体内時計を調節して人間のリズムをコントロールする働き」があると考えることはできないでしょうか?
もちろん花や葉にはハルミンだけでなく様々な成分が含まれているでしょうから、そういった成分が複雑に作用しあって、摂取した人に様々な働きかけをするのだと思います。
まとめ
パッションフルーツの果実から花や葉まで、様々な栄養素について解説してきました。総合的に見ると、果実は特に妊娠中の女性にとって摂取したい栄養素が豊富で、ハーブ部分では糖尿病などの生活習慣病に役立つ栄養が目立ちますね。
暖かい地方で、ものすごく強い太陽光に晒されながら育つパッションフルーツ。生命力抜群で香りも良くて美味しいこのフルーツの栄養は、個人的にはサプリなどで摂るより、ご自宅で栽培するのがオススメです。
パッションフルーツ自体を購入するととても高いですし、サプリは特定の栄養素のみを摂取したいならいいですが、パッションフルーツ自体に含まれた複雑な栄養素をたっぷり摂取するにはやはりサプリでは十分ではないからです。
ご自宅で栽培できれば、パッションフルーツの花も葉も果実も、お金を気にすることなく摂取できます!こちらの記事もご参考にどうぞ!